トランジスタの自動組立システム
視覚を持った自動機械の先駆けとして,1973年,計算機制御による世界最初のトランジスタ自動組立システム(写真1)を構築し,稼動させた。これは,0.4mm角~0.6mm角程度の微小なトランジスタチップに対し,その表面パターン画像から電極位置を自動認識し,そこと外部リード端子との間を金の細線によって自動配線するものである(写真2)。その特徴は
- 2次元局部メモリを用いた高速の実時間型パターンマッチング技術(図1)
- 複合型部分パターンマッチング法による高信頼度の位置認識技術(図1)
- 1台の計算機で計50台の組立機を群制御する計算機制御技術
にある。視覚を用いた世界最初の本格的な自動機として実用されるとともに,IC,LSIの組立へも用途が拡大された。
この部分パターンマッチングによる位置認識技術は,米国への技術輸出や装置メーカーへの技術供与を通じて瞬く間に業界標準方式となり,半導体生産の中核技術として産業の発展に大きく貢献した。現在も,世界中の半導体産業で,組立の基本技術として広く実用されている。
1975年 日本機械振興協会賞受賞,1978年 日本産業技術大賞(内閣総理大臣賞)受賞
動画:トランジスタ組立システム